2012年5月3日木曜日

<囲碁>昔、「碁打ちは親の死に目に会えない」といわれたそうですが、今、大切な...

<囲碁>昔、「碁打ちは親の死に目に会えない」といわれたそうですが、今、大切な棋戦中に身内に危篤者が出た場合、プロの方々はどうなさるのでしょうか。







そのことわざは、物事の優先度が麻痺してしまうほど、熱中する感心しない趣味だ、ということをいってるのだと思います。

元ネタはずっと古くて、

http://hix05.com/Chinese/Gishin/g10.genseki..html

ではないでしょうか。



最近、プロ将棋の世界で、郷田真隆九段が似たような目に遭いました。

http://d.hatena.ne.jp/mozuyama/20070202/P20070202GODA








江戸時代では御城碁の下打ちの期間は外へ出ることが禁止されていたので「碁打ちは親の死に目に会えない」のですが、



(御城碁の下打ちは将軍の前で打つ棋譜作りだからそう簡単にやめられるものではないし、{そんなことしたら家がどうなるか}そもそも寺社奉行が抜け出さないようにきちんとした措置をとっているでしょうから物理的にも抜け出すのは不可能だと思います。

また、対局中は親が死のうがそういう情報を耳にすることはないでしょう。 他人と次の手を相談しないようにするために抜け出せないようにしているんですから)



現代ではそのような規定はないのでプロ個人個人の考え方によるとしか言いようがありません。







碁打ちに限らずプロの芸人は、舞台を空けてはならないのです。

増してや一人で行う競技で代わりがいないのであれば、尚更です。

舞台を空けた際の影響が、余りにも大きいからです。







歌舞伎役者でも相撲取りでも同じですが「大切な棋戦」を優先するでしょう。



「身内の危篤」を理由に不戦敗を選んでは、本人の損はともかく、棋戦を開催している新聞社などのスポンサーに申し訳ないという意識が働くはずです。



ちょっと違う話ですが、将棋の故 村山聖九段は、重い病気を抱えながらプロ棋士として活躍し、A級在籍のまま29歳で死去した稀有な人ですが、ある棋戦で決勝戦に進出したものの、持病が悪化して不戦敗を決意し、その旨を師匠の森信雄五段に相談しました。



森五段は

「普通の対局を病気で不戦敗するのは許されても、棋戦の決勝戦を不戦敗とするのは、この棋戦を一年かけて準備してきた関係者の皆さんの努力を全て無にすることになる。お前がこの一局を不戦敗にするなら、プロ棋士である資格がない。引退するしかない」

と言い、弟子である村山の引退届を日本将棋連盟に出す用意を整えていた所、対局前日になって村山の体調が小康状態となり、不戦敗→引退を免れたというエピソードがあります。



歌舞伎役者は親の死に目に会えない

相撲取りは親の死に目に会えない

将棋指し (碁打ち) は親の死に目に会えない



いずれも、そのような厳しい世界に身を投じて一流のプロになった以上は「当たり前」のことです。



なお、いずれも



歌舞伎役者: パンフレットに名前が出ない役者

相撲取り: 幕下以下

将棋指し、碁打ち: タイトル戦のリーグ戦 (本戦) より下



であれば、舞台、場所、対局を欠席して親の死に目に会うことは許されるでしょう。



(補足について)



『これまでに築いてきた地位、名誉・名声を捨て、多くの人達の期待を裏切っても、またたとえ法を犯し神の御教えに逆らうことになっても、一目会うために駆けつけるなんて方はいらっしゃらないのでしょうか』

プロ棋士一人一人に聞かないと答えられませんね。

プロ棋士であっても、実際にそのような状況にならなければ答えられないでしょう。



なお、囲碁でも将棋でも、タイトル戦 (*番勝負) で、「親などの死に目に会うための不戦敗」の前例は存在しないと思います。

恐らく、様々な公式戦での「親などの死に目に会うための不戦敗」の前例自体が存在しないのではないでしょうか。



将棋の先崎学 八段の本に書いてありましたが、スキーなどで右腕を折り、左手で公式戦を指した将棋棋士は珍しくなく、先崎八段自身も経験しているとのことです。



その時に、棋士同士の雑談で

「両腕を折ったらどうすれば良い?」

「足で指せるやろ」

というジョークがあったとか。



現実には、そういう場合には連盟で急遽協議し、

* 両腕を折った棋士が奨励会員を一人バイトで雇う。

* 当日、対局開始時間に、両腕を折った本人と奨励会員が将棋盤の前に並んで座り、対局開始。

* 本人が時間内に「7六歩」と発声。

* 奨励会員がその通りにコマを動かす。

と言った形で対局が可能でしょうか。前例がないはずなので、その時にならないと分かりません。



先崎八段の実体験に基づく話から分かるのは

「右腕を折った『くらい』で公式戦の不戦敗を選ぶなど、有り得ない」

のがプロ棋士の意識である、ということです。



将棋界ですが、今年の第2期マイナビ女子オープン5番勝負で、挑戦者の岩根忍女流二段が、本来の五番勝負の時期が出産時期と重なっていたため、女流タイトル戦の歴史上始めて「対局者の出産によるタイトル戦の日程変更」が実施されました。

これは「人情の限界点」とかではなく、対局者の母体を配慮してのものであり、妥当な判断でしょう。



つい先日、第36期女流名人位戦の挑戦者が里見香奈倉敷藤花、岩根忍二段、千葉涼子三段の三者間のプレーオフで決まることになりましたが、千葉三段は来年の女流名人位戦五番勝負の時期が出産予定と重なるそうで、二度目の「対局者の出産によるタイトル戦の日程変更」が起きる可能性がありました。

ただ、プレーオフ第一局で、千葉三段が岩根二段に敗退したので、その可能性は早々になくなりましたが。



そういえば、将棋の中原誠十六世名人が、確か十段戦でしたか、シリーズの始まる直前にご尊父が亡くなり、主催者の読売新聞社、日本将棋連盟、対局相手( 確か加藤一二三 九段)らが協議した結果、急遽日程を変更して、中原さんが帰郷して葬儀等を済ませることが出来るようにしたそうです。昨年、中原十六世名人が引退した後の雑誌「将棋世界」の特集記事に書いてありました。







対局中に話しかける事はできませんので…



危篤かも分からないですね

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